ISC認定 JSA公式ルール

インターナショナル修斗コミッション認定
一般社団法人日本修斗協会制定
プロフェッショナル修斗 公式ルール

宣言
インターナショナル修斗コミッション(International Shooto Commission = ISC)は、1996年5月7日、修斗協会の推戴により、修斗、及びバーリ・トゥードを統括するために設立された。今後、日本国内におけるISC管轄下で行われる総ての修斗の試合は、本ルールによって運営、管理されるものであることを宣言する。

1996年5月7日
ISCコミッショナー 浦田 昇

第1章 コミッショナーの権能
第1条【権能】
ISC並びに日本修斗協会(Japan Shooto Association = JSA)コミッショナーは、JSA管轄下で行われる総ての修斗の試合を指揮、監督する権能を有する。

第2章 ライセンス
第2条【ライセンス】
プロフェッショナル公式戦に関わるプロモーター、選手、そのチーフ・セコンド、審判員、タイム・キーパーの総てがJSAよりライセンスの交付を受けていなければならない。ただし海外在住の者はこの限りではない。

第3条【交付】
総てのライセンスは申請する者の実績と能力に基づいてJSAが審議の上承認し、これを交付する。なお総てのライセンスはこれを他人に貸与または譲渡することは出来ない。

第4条【申請】
ライセンスを申請する者は、必要事項を記入済みのJSA所定の申請書に、申請日より1カ月以内に検査した血液検査報告書と眼底検査診断書、新規申請者は更に申請日より3カ月以内に撮影した、明白に本人と判別できる顔写真(無帽、正面向き)1枚を添えてJSAに提出しなければならない。

第5条【種別】
ライセンスの種別は次の通りである。
1種 プロモーター、マネージャー
2種 セコンド
3種 クラスA選手、クラスB選手、クラスC選手
4種 ゲスト選手
5種 タイム・キーパー
6種 クラスA審判員、クラスB審判員

第6条【異種ライセンスの交付】
JSAが承認すれば異なる総ての種別のライセンスを同一の者が同時に交付を受けること、並びに兼ねることを認める。また1種、及び3種ライセンスは2種ライセンスを兼ねる。

第7条【3種ならびに4種ライセンスの取得】
3種ならびに4種ライセンスはJSAの実施する審査、或いはテストに合格し、かつJSAが信頼するに足ると判断した医療機関の血液検査(B型肝炎・C型肝炎・HIV)と眼底検査(網膜裂孔・網膜剥離)に合格した場合交付される。また未成年者に限り親権者の承諾書を必要とする。

第8条【4種ライセンスの有効限度】
4種ライセンスは1試合のみ有効とし、更新する場合は3種ライセンスへ切り替えなければならない。

第9条【有効期間】
総てのライセンスの有効期間は、1月1日から12月31日までの1カ年とする。ライセンスの更新は、JSAが特に問題がないと判断した場合許可される。更新の手続きはライセンスの申請手続きと同じである。

第10条【取り消し、停止】
ライセンスを交付された者が本ルール、或いは法律に違反するなどして、ライセンスを交付する資格に欠けるとJSAが判断した場合、ライセンスの取り消し、もしくはJSAが指定した期間ライセンスの停止 (以下、サスペンド) となる。

第3章 契約
第11条【作成】
総ての契約はJSA認定の契約書で作成されるものとする。

第12条【厳守】
総ての契約は守られ、かつ履行されなければならない。

第4章 提訴
第13条【提訴】
日本在住の者はJSAによりライセンスを交付された者に限って、海外在住の者は当該選手に限って、試合に対する異議、契約の不履行、及びその他一切の紛争について、1週間以内に文書によりJSAに提訴することが出来る。提訴を受けたJSAは提訴内容について審議を行い、判断を下し問題の解決に努めなければならない。

第5章 審判員
第14条【資格】
レフェリー、及びサブ・レフェリー (以下、審判員) は総合格闘技の技術を学んだ経験を有し、ルールに精通していなければならない。また審判員となる者はJSAの審査に合格し、かつ一定の教育を受けなければならない。

第15条【技術の向上】
審判員は少なくとも6カ月に1度会合し、審判技術や採点結果の批判、ルールの解釈に関する問題の解決、修斗の技術の研究に努め、審判技術の向上に勉めなくてはならない。

第16条【種別】
審判員は経験と能力を考慮して、試合の総ての審判を司るクラスA審判員と、レフェリング以外の審判を司るクラスB審判員に分けられる。

第17条【中立、公正】
審判員は選手、及びその関係者に対し中立、かつ公正でなければならない。

第18条【不正】
審判員は買収、恐喝等のあらゆる不正に対し毅然たる態度でこれを拒絶しなければならない。

第19条【罷免】
審判員がルールの適用を誤ったり審判上の過失を犯したりした場合、JSAの審議の上ライセンスの剥奪、或いはサスペンドとなる。

第6章 公式試合
第20条【公式試合】
公式試合とは、JSAが承認し許可した試合をいう。ただし場合によっては、後日JSAは公式試合の取消しをすることが出来る。

第21条【試合方式】
ひとつのラウンドを5分間とし、各ラウンドの間に1分間のインターバルを取る。

第22条【試合ラウンド】
試合のラウンド数は2回戦、3回戦、5回戦の3種類とする。クラスA選手は2回戦、3回戦、5回戦に出場することが出来、クラスB選手ならびにゲスト選手は2回戦、3回戦、クラスC選手は2回戦に限り出場することが出来る。

第23条【試合の審判】
1名のレフェリーと3名のサブ・レフェリーによって行われる。

第7章 ランキング
第24条【ランキング】
ISC、ならびにJSAは選手の実績に基づいて審議し、ISCは1カ月に1度各クラスの1~10位までの世界ランキング、ならびにJSAは地区ランキングを決定しこれを公表する。

第8章 チャンピオンシップ
第25条【チャンピオンシップ】
チャンピオンシップとはISC、ならびにJSAが選手権試合として承認した試合であり、チャンピオンとロジカル・コンテンダーの双方が規定のウェイトで行われなければならない。

第26条【チャンピオン】
チャンピオンは1クラスに1名を置く。ただし、当該階級において暫定王者が認定試合により決定された場合は暫定王者を含め2名となる。

第27条【指名試合】
チャンピオンはタイトル獲得後、原則として以後1年内毎にランキング1位の者と指名試合(防衛戦)を行わなければならない。1位の者が出場出来ない場合は、ISC、ならびにJSAはランキング上位の者から順次適確者を指名する。チャンピオンが正当な理由なくこれを履行しない場合、タイトルは剥奪され空位となる。
正当な理由がある場合、当該階級において暫定王者が認定試合により決定される。その場合、正規王者は暫定王者のタイトル獲得後、原則として以後180日以内に王座統一戦を行わなければならない。
正規王者が正当な理由なくこれを履行しない場合、タイトルは剥奪され暫定王者がチャンピオンとなる。
王座統一戦でドローの判定が下された場合、正規王者の防衛となる。また、暫定王者の防衛戦は正規王者との統一戦以外認められない。

第28条【規定ウェイト以外】
チャンピオンシップにおいて、ISC、ならびにJSA指定の計量時に出場選手が規定のウェイトを維持していなかった場合次の通りとする。
(1)規定ウェイトでないチャンピオンと規定ウェイトである挑戦者によるチャンピオンシップにおいて、タイトルは計量失格時点で剥奪され空位となり、チャンピオンの勝利、及びドロー(引き分け)の場合タイトルは防衛とならない。
(2)規定ウェイトでないチャンピオンと規定ウェイトである挑戦者によるチャンピオンシップにおいて、タイトルは計量失格時点で剥奪され空位となるが、挑戦者が勝利した場合タイトル獲得となる。
(3)規定ウェイトであるチャンピオンと規定ウェイトでない挑戦者によるチャンピオンシップにおいて、チャンピオンの勝利、及びドローの場合タイトルの防衛となる。
(4)規定ウェイトであるチャンピオンと規定ウェイトでない挑戦者によるチャンピオンシップにおいて、挑戦者が勝利した場合タイトルは移動せず、剥奪され空位となる。
(5)チャンピオンと挑戦者の双方が規定ウェイトでない場合、計量失格時点でタイトルは剥奪され空位となり、ノン・タイトル試合となる。
また、暫定王者についても上記の規定に準ずる。

第29条【認定試合】
タイトルが空位となっているクラスのチャンピオン認定試合は次の通りとする。
(1)ISC、ならびにJSAに実績を認められチャンピオン認定有資格者(以下、有資格者)として指名された者と、同じくISC、ならびにJSAに実績を認められ有資格者に準ずる者(以下、準有資格者)として指名された者によって、チャンピオンの認定戦を行う。これに有資格者が勝利した場合チャンピオンとして認定される。ドロー、及び準有資格者が勝利した場合、準有資格者が有資格者として指名される理由となる。
(2)ISC、ならびにJSAに実績を認められ指名された有資格者2名によってチャンピオンの決定戦を行う。これに勝利した者がチャンピオンとして認定される。ドローの場合、ISC、ならびにJSAが指定した期限までに同一の2名によって再度チャンピオンの決定戦を行う。
(3)正当な理由なくチャンピオン認定試合への出場を忌避した者は、原則として以後1年間のチャンピオンシップへの出場を認めない。有資格者または準有資格者が出場出来ない場合は、ISC、ならびにJSAはランキング上位の者から順次適確者を指名し、チャンピオンの認定戦、或いは決定戦を行う。
また、暫定王者についても上記の規定に準ずる。

第9章 試合出場選手
第30条【規約】
試合に出場する選手は、次の事項を守らなければならない。
(1)第1試合開始時刻の30分前までに選手控え室に入らなければならない。
(2)試合前後に医事検査を受け、これに合格しなければならない。
(3)ライセンスの交付を受けたセコンドの付き添いがなければならない。
(4)試合開始後はレフェリーの許可を得ずに試合場を出てはならない。レフェリーの許可を得て試合場の外に出たときは、審判員、またはJSA役員を伴わなくてはならない。
(5)自己の責任において安全と判断したマウス・ピース、及びノー・ファウル・カップを装着しなければならない。
(6)関節部へのテーピングは原則として自由とするが、肘・膝の先端部分をテーピング等で覆ってはならない。また、JSA役員の判断に応じて試合中に剥がれないようその上からサポーターを装着しなければならない。
(7)オイル、グリス等の油脂類、または不快な臭いのする薬品類や化粧品類、整髪料の身体や頭髪へ塗布してはならない。
(8)試合は、試合開始前に試合役員によって眉頭、眉間、瞼等にワセリンが塗布されなくてはならない。
(9)試合役員が塗布する以外にワセリンを身体や頭髪へ塗布してはならない。
(10)指輪やネックレス、ピアスなどの貴金属類はいかなる物も身に付けてはならない。
(11)試合終了後は速やかに試合場を出なければならない。

第10章 プロモーター
第31条【責務】
プロモーターは試合に必要な試合報酬や承認料の支払いも能力を有し、適正な試合場の設備を用意出来、修斗の理念を理解した社会的な信用を有する者でなければならない。

第11章 マネージャー
第32条【マネージャー】
マネージャーとは、契約下の選手に代わって一切の事を取り仕切ることの出来る者をいう。なお、マネージャーは契約下の選手の利益を守らなくてはならない。

第33条【ライセンス】
マネージャーとなる者はライセンスの交付を受けていなければならない。マネージャーがライセンスの剥奪、或いはサスペンドとなった場合、契約下の選手は代理マネージャーを任意に選択すること、または新しいマネジャーと契約することが出来る。

第12章 セコンド
第34条【セコンド】
試合のセコンドは1名の選手につき3名までとし、内1名をチーフ・セコンドとする。

第35条【禁止事項】
セコンドは次の事項を守らなければならない。違反者には注意が与えられ、再三の注意にも関わらず度重なる違反を犯した場合退場が命じられ、ライセンスの剥奪、或いはサスペンドとなる。
(1)試合前、或いはラウンド間の休憩中に試合場内に入るのは、チーフ・セコンドを含め2名まででなければならない。
(2)ラウンド開始の10秒前に「セコンド・アウト」とアナウンスされたら、試合場内に持ち込んだ用具と共にリング外へ速やかに退出しなければならない。
(3)試合中、試合場の内外に関わらず選手の身体に触れた場合、そのセコンド側の選手は失格となる。
(4)試合中、いかなる理由であれ試合場内に入った場合、そのセコンド側の選手は失格となる。
(5)試合中は静粛にし、観客の妨げにならないよう自コーナー下で待機していなければならない。
(6)マナーに反する言動は慎まなければならない。
(7)試合場を液体等で濡らす行為はしてはならない。

第36条【用具】
試合においてセコンドが使用出来る用具等は次の通りである。
(1)水※
(2)透明なボトル※
(3)バケツ
(4)氷
(5)粘着テープ
(6)ハサミ
(7)ガーゼ
(8)綿
(9)綿棒
(10)タオル※
(11)時計
(12)腫れ止め用具
(13)止血剤
(14)椅子
(15)主催者が用意した霧吹き
(16)予備の競技用具
(17)その他、試合開始前に審判員により競技上支障がないと判断された物
なお、※印のものは必ず持参していなくてはならない。

第13章 クラスとウェイト
第37条【体重制】
試合は体重制とし、そのクラスとウェイトのリミットは次の通りである。
アトム級     47.6kg以下(-105lb)
スーパーアトム級 50.0kg以下(110lb)
ストロー級    52.2kg以下(-115lb)
フライ級     56.7kg以下(-125lb)
バンタム級    61.2kg以下(-135lb)
フェザー級    65.8kg以下(-145lb)
ライト級     70.3kg以下(-155lb)
ウェルター級   77.1kg以下(-170lb)
ミドル級     83.9kg以下(-185lb)
ライトヘビー級  93.0kg以下(-205lb)
ヘビー級     120.2kg以下(-265lb)
スーパーヘビー級 120.2kgから無制限(+265lb)

第38条【属するクラス】
選手は必ずひとつのクラスに属し、同一の者が同時に複数のクラスに属することを認めない。試合は原則として双方の選手が同じクラスに属していなければならない。ただし異なるクラスに属する選手同士であっても、同じウェイトであれば契約により試合を行うことが出来る。

第39条【ウェイト差】
試合を行う双方の選手のウェイト差は、次の範囲内でなければならない。また双方の選手のウェイトがふたつの範囲にまたがる場合は軽い方のウェイト差が適用される。なお、双方の選手のウェイト差が次の範囲内にない場合JSAの承認を必要とする。
また、規定のクラス以外での契約体重の場合はその規定ウェイトの3%以内とする。
47.6kg以下(-105lb) 1.4kg
50.0kg以下(-110lb) 1.5kg
52.2kg以下(-115lb) 1.6kg
56.7kg以下(-125lb) 1.7kg
61.2kg以下(-135lb) 1.8kg
65.8kg以下(-145lb) 2.0kg
70.3kg以下(-155lb) 2.1kg
77.1kg以下(-170lb) 2.3kg
83.9kg以下(-185lb) 2.5kg
93.0kg以下(-205lb) 2.8kg
120.2kg以下(-265lb) 13.6kg
120.2kgから無制限(+265lb) 無制限

第14章 計量
第40条【計量】
試合に出場する選手は、JSAが指定した時刻(原則として試合開始の24時間前以内)に指定した場所へ出頭し、計量役員立ち会いのもと計量しなければならない。
正当な理由なく計量に遅刻、或いは出頭し計量しない場合失格となる。その場合、規定ウェイトである対戦者の勝利となる。
正当な理由がある場合は、再度JSAが指定した計量に出頭しなければならない。また計量時に計量役員により爪、頭髪等のチェックを受け、その処置が指示される。

第41条【規定ウェイト以外】
プロモーターより報告された規定のウェイトを維持していなかった場合、主催者が書面にて指定した時刻(原則として指定の計量時刻から2時間から6時間以内。指定がなかった場合は6時間以内)の間は何度計ってもかまわない。猶予時間内に規定ウェイトに達していなかった場合は不合格となり、JSAより罰則が科せられる。ただし対戦者が試合を希望した場合は、試合当日でのウェイト差が規定の範囲内であれば契約体重を変更し試合を実施することができる。その場合、変更前の規定ウェイトに達していなかった選手は全てのラウンドで1ポイントの減点となる。

第15章 試合場
第42条【試合場】
試合場は以下の2種とする。
(1)リング
a. JSAが本ルールに充分対応し得ると判断し承認した、3本以上のロープを硬く張り廻らせた四角型リングでなければならない。
b. リングのフロアは水平で、適当な広さの残余部分を有しなければならない。
c. リングのフロアは畳と同じ程度の硬さの下敷きを置き、表面をキャンバスで覆わなければならない。
d. リングの対角にある選手が待機する2つのコーナーは赤と青とに色分けし、その他のコーナーはニュートラル・コーナーとする。
e. リング・サイドにはJSA席と、リングを挟んで向かい合わせにした2カ所、または二等辺三角形を為すように配置した3カ所のサブ・レフェリー席を設けなければならない。
f. リングの照明は試合が円滑に行える明るさを有していなければならない。
(2)ケージ
a. JSAが本ルールに充分対応し得ると判断し承認した、金網を張ったフェンスで囲った6角形以上、または円形のケージでなければならない。
b. ケージのフロアは水平でなければならない。
c. ケージのフロアは畳と同じ程度の硬さの下敷きを置き、表面をキャンバスで覆わなければならない。
d. ケージの対角にある選手が待機する2つのコーナーは赤と青とに色分けし、その他のコーナーはニュートラル・コーナーとする。
e. ケージ・サイドにはJSA席と、ケージを挟んで向かい合わせにした2カ所、またはケージを等間隔で囲むように3カ所のサブ・レフェリー席を設けなければならない。
f. ケージの照明は試合が円滑に行える明るさを有していなければならない。

第16章 グローブ
第43条【修斗グローブ】
試合で使用するグローブは、JSA認定のオープン・フィンガー・タイプの修斗グローブでなければならない。

第44条【グローブのサイズ】
試合で使用するグローブは、契約ウェイト 、ならびに製品により以下の通りサイズが異なる。
(1)ウイニング製 ST-555
ミニマム級~ライト級 ナックル・パート部25mm厚(S、SSサイズ)
ウェルター級~ミドル級 ナックル・パート部30mm厚(Mサイズ)
ライトヘビー級から上 ナックル・パート部35mm厚(Lサイズ)
(2)ウイニング製 ST-777/イサミ製 SHO-4
ミニマム級~フェザー級 ナックル・パート部20mm厚(Sサイズ)
ライト級~ミドル級 ナックル・パート部25mm厚(Mサイズ)
ライトヘビー級から上 ナックル・パート部30mm厚(Lサイズ)

第44条【装着】
グローブはJSAの検査済みのものを正しく装着しなければならない。試合中に脱げぬよう手首のところは粘着テープを巻いて固定しなければならない。

第45条【細工】
ナックル・パートに当たる部分の詰め物を移動させる等、グローブを変形させたり傷をつけたりしてはならない。

第17章 バンデージ
第46条【使用】
バンデージはナックル・パートの保護を目的としてのみ使用することが出来る。またバンデージを使用せず粘着テープのみを使用する場合もバンデージと同様である。

第47条【着用】
バンデージは布製のものをナックル・パートのみに使用し、その内部にはいかなる物をも巻き込んではならない。バンデージを固定するための粘着テープの使用は認める。

第48条【検査】
バンデージ、及び粘着テープ装着後は、試合前にJSAの検査を受けなければならない。検査後バンデージを巻き直したり、粘着テープを貼り直したりしてはならない。

第18章 服装
第49条【出場選手の着衣】
試合出場選手の試合場内での着衣は、男子選手は試合中に妨げとならず攻撃に対して防護とならないタイツ(スパッツ)、及び膝上丈のトランクス(ショーツ)でなくてはならない。着衣の色、模様、デザインは自由とするが、対戦者に対して不快感を与える装飾は禁じる。
女子選手は上半身に次に掲げるラッシュガード等を着用し、下半身は男子と同様の基準のショーツ、スパッツ等を着用する。
(1)身体に密着し、且つ形状は半袖、ノースリーブ、スポーツ・ブラジャーのいずれかに該当するもの。
(2)下半身のコスチュームと一体となっていないもの。
(3)金属、硬質のプラスチックその他の硬性の素材による部品が使用されていないもの。
(4)コスチュームの表面にコスチュームの主たる構成素材とは異なる素材のものが縫い付け、あるいは接着してあるもの。ただし、塗料等でコスチュームにプリントされたものなど、明らかに危険性がなく、競技上支障がないと審判員に認められたものはこの限りではない。
(5)清潔で破損の無いもの
(6)本ルールに定めのないコスチューム着用の合理的必要性が生じ、審判員により競技上支障がないと判断されたもの。
また男子、女子選手共ににリング入場の際のガウン等の着用は認める。

第50条【禁止事項】
試合出場選手について男子選手は上半身は裸、足は素足とし、規定の着衣以外いかなる物も着用してはならない。なお任意によるサポーター、及びニー・パッドの装着は認める。
女子選手は規定により認められた着衣を着用した上で足は素足とし、規定の着衣以外いかなる物も着用してはならない。なお任意によるサポーター、及びニー・パッドの装着は認める。

第19章 衛生
第51条【出場選手の衛生】
出場選手は、次の事項を守らなければならない。
(1)身体や頭髪は清潔、かつ衛生的でなければならない。
(2)着衣は清潔で、かつ不快な臭いのない乾燥したものでなければならない。
(3)手や足の爪は、対戦者の皮膚を傷つけないよう短く処置しなければならない。
(4)頭髪は地毛のみ。長く伸びた頭髪はJSA、及び審判員の判断に応じて、束ねて結ばなければならない。
(5)髭は剃りたてか、対戦者に不快感を与えない程度に伸ばした状態でなければならない。

第20章 試合の勝敗
第52条【勝敗の決定】
試合の勝敗の決定は次の通りとする。
(1)一本(Submission = S)
関節技や絞め技を施された選手が、「ギブ・アップ」、または「参った」と言うか、或いは対戦者の身体やフロアを手や足で連続して2度以上叩く(タップ)などして、ギブ・アップの意志表示をした場合。双方の選手が同時に一本を取った場合はドローとする(ダブル一本)。
(2)テクニカル一本(Technical Submission = TS)
関節技や絞め技が完全に極まったとレフェリーが判断した場合。
(3)ノック・アウト(以下、Knock Out = KO)。
打撃、投げによるダメージのため、試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合 。双方の選手が同時に試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合はドローとする(ダブルKO)。
(4)テクニカル・ノック・アウト(以下、Technical Knock Out = TKO)
a. 打撃、投げ、関節技等による負傷のため、試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合。
b. 打撃や投げを受けた選手が戦意喪失したりギブ・アップの意志表示をした場合。
c. セコンドが試合場内にタオルを投入したり棄権を申し出た場合。
(5)判定
各審判員の票は同等の1票であり、最終ラウンド終了後の審判員の採点で2票以上を獲得した者を勝者とし、他を敗者とする。2票未満の場合ドローとする。なお審判員が下した判定結果は、採点記載や集計の誤りを除き、JSA以外によって変更されることはない。
(6)テクニカル判定(Technical Decision = TD)
偶発的な事故による負傷、或いはダメージにより、一方または双方の選手の試合続行が不可能になった場合、または災害や設備の破損等、試合続行を不可能に至らしめるような事態が生じた場合、原則として試合の後半(2回戦は最終ラウンド、3回戦は2ラウンド以降、5回戦は3ラウンド以降)ならばそのラウンドまで含めた採点で2票以上を獲得した者を勝者とし、他を敗者とする。2票未満、或いはそのラウンドが試合の前半(2回戦、3回戦ともに1ラウンドまで、5回戦は2ラウンドまで)ならばドローとする。なお審判員の採点上の攻防の評価やレフェリーの処置に明確な誤りが認められた場合、或いは審判員に不正があった場合は、審判員による採点は採用せず、ISCの判断により妥当な試合結果へ変更される。

(7)反則失格
a. 故意、または偶然に関わらず反則(以下、ファウル)を犯し、再三のレフェリーの注意にも関わらず度重なるファウルを犯した場合。ただし、あまりに悪質なファウルであった場合、一度の注意もなく即失格となることもあり得る。
b. 故意、または偶然に関わらず悪質なファウルによる負傷、或いはダメージが原因で、ファウルを受けた選手の試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合。なおレフェリーの判断によりファウルを受けた選手に休息を与えた後、試合を続行することもあり得る。
c. 試合中にセコンドが試合場内に入ったり、選手の身体に触れた場合。
d. 双方の選手が悪質なファウルを犯した場合、両者反則負けとなることもあり得る。

第21章 採点
第53条【採点】
採点は各ラウンド毎、双方の選手の持ち点を10点として減点する。減点するポイント数は次の通りとする。
10対10 互角の場合(双方の選手の攻防が同等)
10対 9 若干の差が認められた場合(有効な攻撃)
10対 8 明らかな差が認められた場合(効果のある攻撃)
10対 7 圧倒的な差が認められた場合(KO、或いはTKO寸前)

第54条【採点基準】
採点は次の順で優先的に評価される。
(1)決着に至る影響を与えた攻撃。(効果のある攻撃)
(2)決着に至る影響は与えられないものの積極的で明確な攻撃。(明確な攻撃)
(3)対戦者の攻撃を無効にするような巧みな試合運び。(ペース支配)

第22章 ポジション
第55条【ポジション】
グラウンド・ポジションの定義は以下の通りとする。足の裏以外の身体のあらゆる部位(ただし指を除く)が床に触れている状態
(グラウンド状態であるためには、片手の掌が床に着いている、あるいは指を除く他の身体部位が床に触れていなければならない)。
グラウンド・ポジションではないあらゆるポジションを、スタンドポジションとする。

第23章 ドント・ムーブ
第56条【ドント・ムーブ】
攻防の継続中、選手が試合場外へ出そうになった場合、または選手の着衣や装備が外れたり、或いは外れそうになった場合、レフェリーにより双方の選手にドント・ムーブが命じられる。ドント・ムーブを命じられた双方の選手は直ちに動作を止め、レフェリーが試合続行を命じるまで、そのままの態勢を維持しなければならない。

第24章 ブレイク
第57条【ブレイク】
攻防が膠着し明らかな進展がないとレフェリーが判断した場合、或いはドント・ムーブの際に故意、または偶然に関わらず動作を止めた体勢を維持出来ない場合、及び出来なった場合、レフェリーにより双方の選手にブレイクが命じられる。ブレイクを命じられた双方の選手は直ちに攻防を止め、分かれなければならない。

第25章 ファウル
第58条【ファウル】
ファウルは次の通りとする。なお故意または偶然に関わらず悪質なファウルを犯した場合、その程度によりレフェリーから「注意」「警告」「減点」のいずれかが与えられる。「減点」が与えられた場合は、1~2ポイントの減点となる。

(1)禁じる攻撃
a. 頭突き。
b. 指を使った目への攻撃。
c. 後頭部への加撃。
d. 脊椎への加撃。
e. 指へのあらゆる攻撃。
f. 股間へのあらゆる攻撃。
g. グラウンド・ポジションにある対戦者の頭部、頚部への脚での加撃。

(2)禁じる行為
a. 噛みついたり、歯を押しつけたりする。
b. 爪で引っ掻く。
c. 目、鼻の穴、耳の穴、口の中、肛門に指を入れる。
d. 皮膚をつまむ。
e. 頭髪、体毛、鼻、耳、気管を掴む。
f. 着衣、装備を掴む。
g. 一度に3本未満の指を掴む。
h. 金網に指を掛けるたり掴む行為。
i. ロープ、コーナー・マットを掴んだり腕や脚を掛ける。
j. ブレイク後やドント・ムーブ後、レフェリーが試合続行を命じる前に攻防を再開する。
k. ラウンド中以外の攻撃。
l. 対戦者を故意に試合場外へ出す。
m. レフェリーの指示に従わない。
n. 対戦者、審判員等への暴言や侮辱的行為。
o. 奇声や大声を発する。

(3)逃避行為
a. 故意に試合場の外に出る。
b. マウス・ピースを故意に吐き出すこと等による遅延行為。

(4)八百長行為
a. 一方または双方の選手による出来試合。
b. 馴れ合い、或いはショー的行為を行う等全力で戦わない。

(5)マナーに反する行為
レフェリーの判断により、マナーに反するとされる行為。

第26章 レフェリー
第59条【レフェリー】
レフェリーは公式試合を審判する全権を有する。レフェリーはルールと選手の安全が厳格に守られるように監視し、適正な指示を為し、試合が円滑に行われるように努めなければならない。

第60条【服装】
レフェリーの服装は次の通りとする。
(1)見苦しくなく動きやすい、清潔な服装でなければならない。
(2)レスリング・シューズ等、軽快に動くことの出来る靴でなければならない。
(3)感染症を防止するためのラバー・グローブを両手に装着しなければならない。
(4)眼鏡や腕時計、或いは指輪等の貴金属類は、いかなる物も身に着けてはならない。

第61条【任務】
レフェリーの任務は次の通りとする。
(1)試合開始前、試合場の設備や試合役員の配置が総て正しくあるかを確認する。
(2)試合場内に入場した双方の選手の身体検査を行い、違反がないかを確認する。
(3)試合場の中央で双方の選手にルールについて注意すべき事項等を簡潔に述べ、双方の選手を自分のコーナーへ退かせ、レフェリー及び選手以外の者が試合場外へ出たことを確認した後、タイム・キーパーに試合開始の合図をする。
(4)試合中は攻防の妨げとならず、双方の選手の攻防を明確に観察出来るよう位置する。
(5)攻防が膠着した場合「ブレイク」とコールし、速やかに双方の選手を分けスタンド・ポジションから攻防を続行させる。
(6)攻防の継続中選手がリングの外へ出そうになった場合「ドント・ムーブ」とコールし、双方の選手を動作を止めた状態を維持したまま攻防が可能な位置に移動させ攻防を続行させる。
(7)攻防の継続中選手の着衣や装備がはずれる、或いははずれそうになった場合、攻防の妨げにならぬよう速やかに装着させる。
(8)攻防の開始、続行、促進を命じる場合「ファイト」とコールする。
(9)故意、または偶然に関わらず選手がファウルを犯した場合、必要とあらば試合を停止してファウルを犯した選手に警告を与える。
(10)故意、または偶然に関わらず選手が悪質なファウルを犯した場合、試合を停止してファウルを犯した選手に注意を喚起し減点する。
(11)減点する場合、減点する選手の氏名、減点の理由、減点するポイント数をJSA席とサブ・レフェリーに通告する。
(12)一本、或いはKO等により、最終ラウンドの終了を待たずして勝敗の決定を宣告する場合、頭上で手を数度振り試合が終了したことを表示する。
(13)試合を停止または中止する場合、「ストップ」とコールする。
(14)試合の計時を一時停止する、または再開する場合「タイム」とコールする。
(15)試合を中止する場合、その理由をJSA席に通告する。
(16)各ラウンド間のインターバル中、次のラウンドが何ラウンド目であるかを双方の選手に通告する。また必要とあらば試合続行の意志を尋ねたり警告を与える。
(17)試合中双方の選手の攻防を中立、かつ公正に評価し、各ラウンド毎に本ルールに従って採点してスコア・カードに記入し、採点集計時にサブ・レフェリーから回収したスコア・カードと共にJSA席に提出する。
(18)試合終了後、勝者の片腕を取り掲げ、その選手が勝者であることを表示する。ドローの場合、双方の選手の片腕を取り掲げ、ドローであることを表示する。

第62条【権限】
レフェリーの権限は次の通りである。
(1)打撃、投げ、関節技等によるダメージ、または負傷のため試合の続行が不可能であると判断した場合、試合を中止し勝敗を決定することが出来る。
(2)関節技や絞め技が完全に極まったと判断した場合、試合を中止し勝敗を決定することが出来る。
(3)ファウルを故意に犯した選手に対して数度注意した後、或いは一度の注意もなく、その選手を直ちに失格にすることが出来る。
(4)ラウンド中以外であっても選手がファウルを犯した場合は、その選手に注意を喚起し減点することが出来る。
(5)ファウルを受けた選手に対して回復のための休息を与え、試合の続行を命じることが出来る。
(6)選手が試合続行の指示に従わず戦意を示さない場合、TKOにすることが出来る。
(7)ギブ・アップの意思表示、ファウル等について確認出来ない場合、サブ・レフェリーの意見を聞くことが出来る。
(8)ドント・ムーブの際、サブ・レフェリーの補佐を要請することが出来る。
(9)ダメージ、または負傷による試合続行の可否の判断について、ドクターの意見を聞くことが出来る。
(10)災害や設備の破損等、試合の続行を不可能に至らしめるような事態が生じた場合、その試合を中止することが出来る。

第27章 サブ・レフェリー
第63条【サブ・レフェリー】
サブ・レフェリーは試合中サブ・レフェリー席に着席し、冷静かつ注意深く試合を見守り、必要とあらばレフェリーに対する適正な補佐により、試合が円滑に行われるように努めなければならない。

第64条【任務】
サブ・レフェリーの任務は次の通りである。
(1)試合中双方の選手の攻防を中立、かつ公正に評価し、各ラウンド毎に本ルールに従って採点してスコア・カードに記入し、採点集計時にレフェリーに提出する。
(2)レフェリーの確認できないギブ・アップの意志表示やファウル等をレフェリーに指摘する。
(3)試合中レフェリーの要請があらば、「ドント・ムーブ」のコールと共に速やかにリング内に入り、レフェリーと共に双方の選手を動作を止めた状態を維持したまま、攻防が可能な位置に移動させる。

第28章 タイム・キーパー
第65条【タイム・キーパー】
タイム・キーパーはJSA席に着席し、正確な時計を使用して総ての計時を厳正に行わなければならない。

第66条【任務】
タイム・キーパーの任務は次の通りである。
(1)各ラウンドの開始及び終了を、ゴングを打ち鳴らすことによって知らせる。
(2)各ラウンドの開始10秒前に「セコンド・アウト」とアナウンスする。
(3)レフェリーの「タイム」のコールと共に、計時を一時停止、または再開する。
(4)最終ラウンドの終了を待たずして勝敗が決定した場合、試合終了を告げるゴングを打ち鳴らすと共に、その時刻を記録する。

第29章 アナウンサー
第67条【任務】
アナウンサーの任務は次の通りである。
(1)試合に先立ちクラス、ラウンド数、双方の選手のウェイト、氏名、審判員の氏名をアナウンスする。
(2)減点があった場合、ラウンド終了後のインターバル中に減点した選手の氏名、減点の理由、減点するポイント数をアナウンスする。
(3)試合終了後、終了時刻、及び勝者の氏名と勝敗の決定内容をアナウンスする。
(4)JSAから特に要請のあった事項をアナウンスする。

第68条【禁止事項】
JSAが認めた事項以外のアナウンスは許されない。

第30章 ドクター
第69条【ドクター】
ドクターはスポーツ医学に明るく、修斗の技術やルールに精通している、選手の健康を第一義とするJSAが認めた者でなければならない。

第70条【任務】
ドクターの任務は次の通りである。
(1)試合当日、総ての試合出場選手の医事検査を試合の前後に行い、必要とあれば試合出場の可否をJSA役員に進言する。
(2)JSA席に着席し、レフェリーの要請があれば選手を診断し、試合続行の可否をレフェリーに進言する。

2024年2月20日一部改正 / 2024年3月2日施行
2023年11月8日一部改正 / 2023年11月10日施行
2023年2月19日一部改正 / 2023年3月1日施行
2020年2月5日一部改正 / 2020年3月1日施行
2019年4月21日一部改正 / 2019年5月1日施行
2018年12月5日一部改正 / 2019年1月1日施行
2018年8月10日一部改正 / 2018年9月10日施行
2017年11月5日一部改正 / 2018年1月1日施行
2015年2月1日一部改正 / 2015年4月1日施行
2015年1月16日一部改正 / 2015年1月25日施行
2014年12月24日一部改正 / 2015年1月1日施行
2014年11月25日一部改正 / 2015年1月1日施行
2014年11月17日一部改正 / 2015年1月1日施行
2014年11月15日一部改正 / 2015年1月1日施行
2014年10月30日一部改正 / 2015年1月1日施行
2013年11月6日一部改正 / 2014年1月1日施行
2008年6月1日一部改正 / 2009年1月1日施行
2008年6月1日一部改正 / 2008年9月1日施行

SPONSORS